お茶どころ静岡県には、さまざまな種類の静岡茶があります。そのなかで、島田市を流れる大井川周辺で作られるお茶が島田茶です。本記事では、「島田茶」をご紹介します。
島田茶とは?
「島田茶」とは、静岡県の島田市で作られるお茶の種類です。静岡県で作られるので、静岡茶の1つでもあります。
島田市で作られる静岡茶は、今回ご紹介する島田茶の他に「金谷茶(かなやちゃ)」「川根茶(かわねちゃ)」の計3つがあります。
島田茶の産地
島田茶の産地は静岡県島田市ですが、島田市のなかでも主に2つの地域で生産されています。
1つ目は、大井川中流域左岸の伊久美(いくみ)地区の山間地です。ここでは主に島田茶の煎茶が作られています。
2つ目は、大井川右岸に広がる牧之原台地(まきのはらだいち)です。牧之原台地は大井川の右岸に連続して広がる台地で、国内最大級の茶産地として有名です。こちらでは主に深蒸し茶が作られています。
島田茶の歴史
静岡県・島田市は、江戸時代初期にはすでに、全国有数のお茶産地として知られていたようです。
江戸時代後期の天保8年(1837年)に、島田市伊久美村の坂本藤吉という茶師が、京都の宇治から伊久美村に茶師を招き、宇治茶の栽培や製造方法を教えてもらいました。この宇治茶製法は島田市でも普及し、さらに坂本は、静岡初の宇治製法である「静岡製法」というお茶の製法を開発しました。静岡茶の発展に大きく貢献したことで、坂本は「静岡茶の祖」ともよばれています。
そのあと明治2年(1869年)から、大井川下流右岸で牧之原台地の開拓が始まりました。開拓を進めたのは、徳川の士族と大井川の川越人足(かわごしにんそく)たちです。
川越人足とは、旅人を自分の肩などに乗せて川を渡る人たちです。彼らの必死の開墾により、それまでは荒れ果てた原生林だった牧之原が、広大な茶園になりました。牧之原の気候や土壌などが、美味しいお茶づくりに適していたのです。
静岡茶について
前述のとおり、島田茶は静岡茶の1つです。静岡茶は、静岡県のなかでも生産地域によってさまざまなお茶の種類があります。なかでも有名なのは、静岡三大地域ブランド茶とよばれる下記3つの静岡茶です。
・川根茶
・掛川茶
・本山茶
川根茶
川根茶(かわねちゃ)は、島田茶と同じ島田市で作られているお茶です。山間部にある川根地域で作られており、奥深い旨みと上品な渋み、豊かな香りを味わえます。
掛川茶
掛川茶(かけがわちゃ)は静岡県中西部の掛川市で作られています。深蒸し茶が有名で、じっくり茶葉を蒸すことで、苦みが少なく、甘くて濃厚なお茶になります。
本山茶
本山茶(ほんやまちゃ)は、静岡県中部の安倍川上流域で作られます。甘み・旨みと苦みが絶妙なバランスで味わい深く、水色も鮮やかなグリーンです。それらの特徴から、「天然の玉露」とも称されます。
このほかにも静岡茶には天竜茶、裾野茶(すそのちゃ)、朝比奈茶など数多くの種類があります。それぞれ味や香りが異なるので、飲み比べてみても楽しいかもしれません。
島田茶の特徴
島田茶の特徴をいくつか解説します。
旨みが強く滋味深い味わい
島田茶が育つ大井川周辺は、川霧が多く、霧によって程良く日光が遮られます。
そのおかげで、茶葉に含まれる甘み・旨み成分のテアニンが多くなります。テアニンが豊富に含まれることで、甘く旨みのあるまろやかな味わいを楽しめるのです。
上品な香り
島田茶は優雅な香りもあります。さわやかでクセがない香りは、かぐだけでリフレッシュできます。
深みのある美しい水色
島田茶の水色は深みのあるグリーンです。濃く鮮やかなグリーンになるのが特徴で、目でも楽しめるお茶といえるでしょう。
島田茶の味について
島田茶を実際に飲んだ方の味の感想を、Xよりいくつか抜粋してご紹介します。
今日のお茶。
ジークレフ 静岡島田2ndフラッシュ べにふうき 桃花香 井村典生作
10g袋2袋目開封。透明急須に茶葉2gとお湯たっぷりなみなみ注いで。ほんのり香ばしさも感じる甘い香りが立ち、なめらかでスッと溶け込む質感の茶液は甘く、収斂味と渋みがじんわり舌に染み渡る。上品な味わいで美味しい。 pic.twitter.com/FoBgQUnnBI— 架乃 (@kuroikano) January 21, 2024
青鶴茶舗
◆島田煎茶 初倉 山峡
【茶葉の香り】
酢飯と海苔の匂い!フルーティな酸味を連想させる分子を穏やかに漂わせつつ、焼き海苔を思わせる香ばしく深い緑の香りがブワッと。
【味わい】
さっぱりとした甘味、滲み出る濃いめの旨味、奥底にうっすら苦味を纏った渋味。まろやかな飲み口。 pic.twitter.com/9lOnHMuj3R— みな (@cacaocult37) July 8, 2024
静岡茶を飲み比べてみた
(個人的見解でありダメ出し等ではありませんので悪しからず)
左から金谷茶、牧之原茶、島田茶です
金谷茶=渋味が薄くソフトな味わい
牧之原茶=渋味はあるがお茶の風味を感じるような味わい
島田茶=渋味が強くて苦味を感じる
一言に静岡茶とはいえ様々な味なあると感じた pic.twitter.com/MvfGaCyJly— ヤマオZ@無心任果 (@yamaoz113) July 16, 2018
お茶もおいしかったなー。島田茶というペットボトル飲料があって、お~いお茶系統の本格的なお茶なんですが、円やかで苦みエグみが少なくて旨みが強い上位互換の味してるんですよね。
— ivnin (@ivnin) February 12, 2024
島田茶の製品によって味の違いはあるものの、やはり強い甘みや旨みを感じる方が多いようですね。渋みや苦みは少なめなので、甘いお茶がお好きな方におすすめです。
まとめ
島田茶は、まろやかな旨みとさわやかな香りを感じられる美味しいお茶です。大井川周辺の霧や土壌が育んだ島田茶を、ぜひお試しください。
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