一口に日本茶といっても、番茶、煎茶、深蒸し茶、茎茶など多数。
改めて日本茶にはどのようなお茶があるのか、この記事で徹底解説いたします。
日本茶(緑茶)とは?
日本茶の一般的な解釈は、緑茶のことを指します。
全国茶生産団体連合会の「平成29年茶種別生産実績」でも、煎茶の合計生産量が44,535t、番茶が23,966tと他のお茶と比べても圧倒的な生産量となっています。
日本でも和紅茶と呼ばれる紅茶がありますが、煎茶や番茶と比べるとわずかです。
日本茶(緑茶)の歴史
日本茶の始まりは、遣唐使が持ち帰ったお茶を、貴族たちが飲んだのが始まりと言われています。
鎌倉時代になると、臨済宗の開祖である栄西が登場します。
栄西は中国で禅宗を学びつつ、お茶の知識も増やしました。
日本に帰国した栄西が佐賀県の山にお茶の種を植えたのが、日本茶栽培の始まりです。
その後、華厳宗の僧である明恵上人(みょうえしょうにん)が京都の栂尾にお茶の種を蒔き、宇治茶の基礎を作ります。
これをきっかけに、全国にお茶の栽培が広まりました。
室町時代|お茶文化の発展
室町時代に入ると、足利義満が「宇治七名園」を作り、宇治茶の発展に大きく貢献します。
室町時代末期には、村田珠光(むらたじゅこう)や武野紹鴎(たけのじょうおう)、千利休といった人物が「侘び茶」を考案。
現代の「茶道」の原型を作ります。
千利休は、侘び茶から「茶の湯」を大成させ、幕府とお茶文化を強く結びつけました。
江戸時代以降|お茶が庶民にも広まる
1738年、宇治の茶農家である永谷宗円(ながたにそうえん)が、煎茶を発明します。
煎茶が普及したことによって一般市民も高品質なお茶が飲めるようになり、現代のお茶文化の基礎が作られました。
1835年には、山本嘉兵衛(やまもとかへえ)が玉露を発明。
江戸時代末期にはアメリカとの貿易により、お茶が重要な輸出品として扱われていました。
明治に入ると、お茶製造の機械化により、お茶文化は急速に発展していきます。
日本茶(緑茶)の種類一覧【特徴・違い】
日本茶は、製法や摘み取りの時期により、それぞれ呼び名が異なります。
ここでは、メジャーな日本茶の種類をいくつかご紹介します。
煎茶
最もよく飲まれているお茶が煎茶です。生の茶葉を蒸して酵素の働きを止めた「不発酵茶」です。一般的に、煎茶は新芽の茶葉を使います。 成熟した茶葉を使ったものは「番茶」として区別します。 最初に摘んだ茶葉を使う「一番茶(新茶)」から順に「二番茶」「三番茶」と時期によって種類が分かれます。 | |
詳細ページ | 煎茶の入れ方、煎茶と玉露の違い |
販売商品 | さわのみどり、とげぬき地蔵茶、やぶきた茶 |
深蒸し茶
一般的なお茶よりも長く茶葉を蒸してできるお茶のこと。茶葉を蒸す理由は、茶葉に含まれている酸化酵素による香りや味の変化を止めるため。 茶葉が細かくなりますが、水色や甘みが濃く、渋みや苦味が抑えられます。 掛川市の深蒸し茶が特に有名です。 | |
詳細ページ | 煎茶と深蒸し茶の違い |
販売商品 | 掛川深蒸し茶 |
玉露・かぶせ茶
玉露とかぶせ茶は、日光を遮って育てた茶葉を煎茶の製法で仕上げます。玉露とかぶせ茶の違いは、日光を遮る時間の違いです。 玉露は20日、かぶせ茶は1週間程度、よしず、藁(わら)、寒冷紗(かんれいしゃ)などで覆います。 | |
詳細ページ | かぶせ茶、煎茶と玉露の違い |
販売商品 | 玉露茶 |
てん茶・抹茶
てん茶は、玉露と同じように直射日光を遮って育てます。玉露との違いは、茶葉を蒸した後は揉まずにほぐし、乾燥させる点です。 完成したてん茶を石臼などで挽き粉状にしたものが抹茶です。 | |
詳細ページ | 抹茶の飲み方、抹茶の歴史、てん茶 |
販売商品 | 雲竜、食べるてん茶 |
粉茶
「出物」と呼ばれ、お茶の製造過程で細かくなった茶葉を集めたもの。浸出に時間がかからないのが利点です。 味は濃厚ですが後味がスッキリしているため、寿司屋でも「あがり」として親しまれています。 一方、粉末茶は粉茶を細かくパウダー状にしたお茶で、お湯に混ぜるだけで飲むことができます。 | |
詳細ページ | 粉茶 |
販売商品 | 玉露粉茶、特上粉茶 |
番茶
三番茶以降の市場流通品から外れた低級品のお茶を総称して番茶と呼びます。 若葉ではなく成長した茶葉が使われることが多いため、薄めでさっぱりした味わいが特徴。 京番茶や阿波晩茶のように、番茶という名前がついているものの、地方によっては全く違う製法で作られている番茶も存在します。 | |
詳細ページ | 番茶とほうじ茶の違い |
販売商品 | 三年番茶 |
ほうじ茶
煎茶や番茶などを強火で焙じたお茶。焙煎という工程により、アミノ酸やカテキン、カフェインの量が普通のお茶よりも少ないです。 安価な茶葉が使われているものが多いですが、一部では上等な茶葉を使ったほうじ茶も売られています。 | |
詳細ページ | ほうじ茶とは、番茶とほうじ茶の違い |
販売商品 | ほうじ茶SUGABOW、炮烙ほうじ茶 |
玄米茶
炒った玄米に同量の煎茶や番茶を合わせたお茶です。 香ばしい香りが特徴。 中には、抹茶や玉露とブレンドしたものや黒豆とブレンドした変わり種商品も。 | |
詳細ページ | 玄米茶とほうじ茶の違い |
販売商品 | 焙煎玄米茶 風雅、とげぬき玄米茶 |
釜炒り茶
生の茶葉を釜で炒って作るお茶です。一般的な煎茶は「蒸す」ですが、釜炒り茶は「炒る」ことで酵素の働きを止めます。 「釜香(かまこう)」と呼ばれる芳醇な香りが特徴です。 | |
詳細ページ | 釜炒り茶 |
販売商品 | 有機 釜炒り茶、有機 特選 釜炒り茶 |
茎茶(白折、雁ヶ音)
煎茶や玉露の製造過程で出る茎を選別して作られたお茶です。棒茶と茎茶は同じですが、地域によって呼び方が異なることも。 特に京都では、高級な煎茶や玉露の茎茶を「白折」や「雁ヶ音」と呼びます。 | |
詳細ページ | 白折について |
販売商品 | ほうじ茶SUGABOW(かりがね焙じ) |
ぐり茶(玉緑茶)
「ぐりっ」とした丸っこい特徴的な見た目から、ぐり茶と名付けられました。一般的な煎茶に存在する「精揉(せいじゅう)」という工程の代わりに、 「再乾(さいかん)」を行うことで、渋みや苦味が少なく、まろやかで甘い味になります。 | |
詳細ページ | ぐり茶(玉緑茶)について |
販売商品 | 長崎 玉緑茶 |
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