茶道(茶の湯)ではおなじみの干菓子。
茶道だけではなく、普段私たちが食べている和菓子のなかにも、干菓子はたくさんあります。
本記事では、干菓子(乾菓子)の特徴や種類、食べ方などを解説します。
干菓子(乾菓子)の意味や特徴とは?
干菓子(乾菓子)とは、水分量が10%以下の和菓子のことを指します。「ひがし」と読みます。
具体的には、和三盆(わさんぼん)やあられなどが挙げられます。
茶道では、基本的に薄茶の際にひがしが用いられます。
和菓子は、水分量によって3つに分類されています。水分量の定義は明確に決まっていませんが、目安は下記のとおりです。
- 干菓子:水分量10%以下
- 半生菓子:水分量10%~30%ほど
- 生菓子:水分量30%以上
半生菓子はゆべしや羊羹、生菓子は大福やおはぎ、カステラなどのことを指します。
干菓子は和菓子のなかでも最も水分量が少ないため、半生菓子や生菓子に比べて日持ちしやすいのが特徴です。
干菓子(乾菓子)と和三盆の違い
「和三盆(わさんぼん)」も干菓子の一種です。和三盆糖(わさんぼんとう)という特別な砂糖を使用しているのが特徴で、食べるとほろっと崩れ、まろやかな甘さを感じられます。
干菓子(乾菓子)の歴史や起源
お菓子の起源とは
そもそも古代の日本では、お菓子は「果子」と書き、果物や木の実を指していました。
この頃はまだ食べ物を加工する技術がなかったのです。
奈良時代になると、唐から唐菓子(とうがし)とよばれる食べ物が渡来しました。唐菓子とは、小麦粉や米粉を練って甘葛(あまずら)を加え、焼いたり揚げたり茹でたりしたものです。
甘葛はツタの汁を煮詰めたシロップで、まだ砂糖が普及していなかった時代にとって貴重な甘味料でした。
この唐菓子が、今のお菓子の原型になったといわれています。
干菓子(乾菓子)の歴史について
諸説ありますが、干菓子は奈良時代から平安時代にかけて食べられるようになったといわれています。
平安時代の文学作品「源氏物語」や「今昔物語集」、「土佐日記」などには、小麦粉や米粉を練って揚げた菓子など、現在の干菓子を思わせる食べ物の表記があります。
しかし平安時代は、砂糖は貴重な高級品でした。そのため、この頃の干菓子には砂糖が使われておらず、現在の干菓子のように甘いものではなかったようです。
また同じ平安時代に、唐からお茶も伝わってきたといわれています。
そのあと、室町時代から安土桃山時代になると茶道(茶の湯)文化が誕生しました。
江戸時代にかけて、茶道が発展するとともに干菓子も普及していったとみられています。
干菓子(乾菓子)の種類
干菓子には、和三盆やあられ以外にもさまざまな種類があります。ここでは、代表的な干菓子の種類を解説します。
打ち物(和三盆・落雁など)
打ち物とは、粉類に砂糖を加えて型に入れて打ち出す種類の干菓子です。和三盆や落雁(らくがん)が挙げられます。
落雁は、米粉やはったい粉(大麦を挽いた粉)に砂糖を加え、型に入れて作られます。
型は鶴亀や松竹梅、桜など種類もさまざまで、見た目も美しく、慶事の引き出物にもよく用いられます。
和三盆糖を使用した落雁を和三盆とよびます。和三盆糖は、香川県や徳島県でしか作られない砂糖で、竹糖(ちくとう)から作られます。口溶けが良く、すっきりした甘味が特徴です。
押し物
押し物は、打ち物と同じように型に入れてから押し固め、包丁で切って完成させる干菓子です。
小豆・砂糖・米粉を混ぜて蒸した「村雨(むらさめ)」や、蒸したもち米を干して、塩漬けの紫蘇を散らした「塩釜(しおがま)」などがあります。
掛け物
掛け物とは、砂糖液や蜜を掛けて作られる干菓子です。代表的なものには、金平糖やひなあられ、砂糖漬けなどがあります。
飴物
飴物は、飴菓子ともよばれます。「有平糖(ありへいとう/あるへいとう)」や「翁飴(おきなあめ)」が該当します。
有平糖は、カステラや金平糖と同様にポルトガルから伝来しました。
一般的な飴と同じく、水飴と砂糖を煮詰めて作られます。一般的な飴は水飴が多く砂糖が少なめですが、反対に有平糖は砂糖が多く水飴が少ないのが特徴です。溶けにくく、食感もサクサクとしています。
翁飴は、水飴に寒天を加えて四角く固めた干菓子で、弾力がありやわらかい食感を楽しめます。
焼き物(せんべい・あられなど)
焼き物とは、小麦粉や米、もち米などをベースに、砂糖やきな粉、あんこなどを混ぜて焼いた干菓子です。ボーロやあられ、せんべいなどが該当します。
使用する粉の種類や焼き具合によって、サクサクしていたり、ホロホロ崩れたり、硬かったりと、食感はさまざまです。
茶席における干菓子(乾菓子)の盛り方
前述のとおり、干菓子は茶道でよく出されます。その際、干菓子の盛り方にも決まりがあります。
2種類の干菓子を盛る場合は、まず格上の干菓子や、高さがある干菓子を菓子器の右奥に盛ります。
格上の干菓子とは、せんべいや和三盆・落雁などの打ち物のこと。
それ以外の干菓子は左手前に盛りましょう。
干菓子(和三盆)の作り方
干菓子のなかでも、人気の高い和三盆の作り方をご紹介します。
同量の水飴と水を混ぜておきます。水飴は小さじ1杯ほど。別のボウルに100gほどの和三盆糖をふるいにかけながら入れます。
ふるいにかけた和三盆糖の真ん中に少し穴を開け、水と混ぜ合わせた水飴を入れます。周りにある和三盆糖を混ぜながらペースト状に練っていきます。
まな板の上に出し、木べらなどでさらによく混ぜます。そのあと再度ふるいにかけます。
最後に型にギュッと押し入れ、硬い台の上などでトントンと型を叩けば中身が出てきます。
これで手作り和三盆の完成です。
干菓子(乾菓子)のアレンジレシピ・食べ方
干菓子の種類ごとにアレンジレシピをいくつか解説します。
干菓子が余ったらぜひ試してみてください。
和三盆・落雁
和三盆や落雁は美味しいものの、パサパサとした食感であるため、短期間で大量に食べるのは難しいもの。
余った分は、くず湯のように飲むのがおすすめです。
いくつか和三盆や落雁をマグカップに入れて熱湯を注ぎ、よく混ぜるだけ。刻んだショウガや柚子の皮を入れても合いますよ。
金平糖
余った金平糖は、ヨーグルトに混ぜてみてはいかがでしょうか。
お皿やカップに水切りしたヨーグルト(無糖)を入れ、お好みの量の金平糖を入れます。
ヨーグルトを少し入れて金平糖を上に敷き詰め、さらにその上にヨーグルトを乗せて……と、層になるように交互に重ねると仕上がりが美しくなります。あとは冷蔵庫で1時間ほど冷やせばOK。
ひなあられ
ひな祭りのあとに余ったひなあられは、チョコバーにリメイクしてはいかがでしょうか。
耐熱ボウルに砕いたチョコレートを入れて電子レンジで溶かします。
そこにマシュマロを入れて再度電子レンジにかけます。マシュマロが溶けてきたら、ひなあられを混ぜてバットや型に入れます。
粗熱が取れたら冷蔵庫で1時間ほど冷やしましょう。固まったら、ひなあられ入りのマシュマロチョコバーの完成。
ひなあられだけではなく、グラノーラや砕いたナッツ類を入れても◎
干菓子(乾菓子)に関してよくある質問
最後に、干菓子についてよくある質問と回答をいくつかご紹介します。
干菓子(乾菓子)のカロリーはどのくらい?
代表的な干菓子の種類でみると、下記の通りです。(すべて100gあたり)。
・和三盆:382キロカロリー
・金平糖:204キロカロリー
・せんべい:182キロカロリー
焼き物よりも、打ち物や掛け物は砂糖が多く、カロリーも高くなります。
特に和三盆はほぼすべてが砂糖になるため、カロリーだけではなく糖質量もかなり多いです。
干菓子(乾菓子)の保存方法について
干菓子は常温保存でOKです。
開封して余った干菓子は、ジップロックやプラスチックなどの容器に入れて、なるべく空気に触れさせないように密封してから常温保存しましょう。
特に砂糖を多く使用している和三盆や落雁は湿気を吸収しやすいため、湿気がある場所に置くとすぐに湿気て劣化してしまうので注意が必要です。
干菓子(乾菓子)の賞味期限は?日持ちはする?
干菓子は種類にもよりますが、賞味期限は10日間ほどが目安です。
特に和三盆や落雁などは水分量が少ないため、3ヶ月~10ヶ月程度もつ製品もあります。
山年園が提供する干菓子(乾菓子)について
山年園でもさまざまな干菓子を取り揃えております。
老舗茶舗ならではの、こだわりの抹茶味の干菓子です。
甘味の強い干菓子は、苦めのコーヒーや緑茶ともよく合います。
ちょっと甘いものが欲しいときや、お客様へのお茶請けにぜひ。
有平糖(抹茶きなこ味)
商品名 | 有平糖(抹茶きなこ味) |
商品区分 | 食品・飲料 |
内容量 | 110g(個包装紙込) |
原材料名 | 砂糖、水飴、大豆きな粉、植物油脂、抹茶 |
使用上の注意 | 開封後はお早めに召し上がりください。 |
保存方法 | 常温保管してください。高温多湿、直射日光は避けて保管してください。 |
賞味期限 | 製造日より約2ヶ月 |
販売事業者名 | 有限会社山年園 〒170-0002 東京都豊島区巣鴨3-34-1 |
店長の一言 | さくさくっと「噛んで」食べる新食感の飴です。 食べ過ぎにはご注意ください(^-^) |
抹茶せんべい
商品名 | 焼菓子 |
商品区分 | 食品 |
内容量 | 60g |
原材料名 | 砂糖(国内製造)、小麦粉、全卵、ショートニング、コーンスターチ、抹茶、脱脂粉乳、/乳化剤、酸化防止剤(ビタミンE) |
使用上の注意 | 開封後はお早めにお召し上がりください。 |
保存方法 | 直射日光や高温多湿の場所をさけて保存してください。 |
賞味期限 | 製造日より4ヶ月 |
販売事業者名 | 有限会社山年園 〒170-0002 東京都豊島区巣鴨3-34-1 |
店長の一言 | 京都・宇治、山政小山園の香り高い、茶道用石臼挽き抹茶を贅沢に使い、昔ながらのうす焼きせんべいに仕上げました。 素材にこだわり抜いた「抹茶せんべい」を是非ご賞味ください(^-^) |
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