普通の日本茶用の急須でも十分ですが、専用の茶器で淹れた方がより美味しく頂けます。
日本の茶道ほど決まったお点前もないので、一通りの茶器を揃えておけばいつでも楽しむことができます。
この記事では、基本的な中国茶器について分かりやすく説明します。
中国茶と茶器の関係について
茶壺(急須)の材質は、陶器製・磁器製・ガラス製がありますが、茶葉の種類によって使い分けると、格段においしく味わい深くなります。
中でも紫砂泥で作られる紫砂壺は、茶葉本来の香りや味を十分に引き出してくれます。
中国茶の茶葉は、緑茶、黄茶、白茶、青茶、紅茶、黒茶の6種類に分けられますが、一般的に緑茶、黄茶、白茶は耐熱ガラスで、青茶は茶壺、紅茶はポット、黒茶は茶壺が適しています。
緑茶、黄茶、白茶の温度は70〜80度、青茶は80〜100度、紅茶、黒茶は90〜100度
が適温と言われています。
基本的な中国茶器・茶具はこの5つ
中国茶を家庭で気軽に楽しむには、基本的に次の5つの道具があればOKです。
それぞれの使い方や特徴についてお伝えします。
茶壺(ちゃふう)
急須のことを「茶壺」といいます。
中国では一度に飲み切る量だけ抽出できる小ぶりのものが主流です。
使用されている茶器の材質は陶器や磁器、耐熱ガラスなどがありますが、中でも紫砂泥で作られる紫砂壷は、青茶や黒茶を淹れるのに最適と言われています。
ちなみに青茶は烏龍茶(ウーロン茶)に代表される半発酵茶で、見た目が青みがかっているために青茶と呼ばれます。
黒茶は後発酵茶で普洱茶(プーアール茶)などで黒い色の茶葉です。
蓋椀(がいわん)
蓋碗とは蓋のついた茶碗のことで、中国では普段使いの茶器です。
日本の湯飲みと違い、蓋を茶こしのようにして、そのまま飲むことができます。
茶海(ちゃかい)
いわゆるピッチャーのようなもので、茶壷から全てのお茶を一度茶海へ移し替えて濃度を均一に保ち、複数の茶杯に注ぎます。
茶杯(ちゃはい)
蓋のない小ぶりの茶碗で、茶芸の席や高価なお茶を楽しむ際に使います。
一口で飲み干せるほどの小さなものが主流ですが、大きなものもあります。
茶器の材質は磁器、陶器、耐熱ガラスなどがありますが、蓋はついていません。
聞香杯(もんこうはい)
茶の香りを楽しむための縦長の形をした青茶専用の茶器です。
煎れた茶を聞香杯に注ぎ、その後茶杯にお茶を移します。
こうすることで、聞香杯にはお茶の香りが残ります。
茶杯と対となっている場合がほとんどで、材質は磁器や陶器です。
その他使われる中国茶器・茶具
暮らしの中に「中国茶を楽しむ時間」を持つと身体や心が癒されます。
中国茶器や茶具のそれぞれの使い方や特徴を知っていると、さらに楽しめます。
茶船(ちゃせん)
茶壺や茶杯を温める、余った湯を受け止めるための鉢状の器です。
茶池とも呼ばれ、明の時代に船を模した形状のものが名前の由来となっているようです。
茶罐(ちゃかん)
茶罐とは、茶葉を保存しておく容器のことで、金属製のものが主流ですが、磁器や陶器で作られたものもあります。
特に紫砂泥の茶缶は、茶葉の保存に適しています。
茶盤(ちゃばん)
茶盤は上部がすのこ状になっている箱で、竹、陶器や木製、プラスチック製などがあります。
中国茶は茶壺や茶杯などに湯をかけることが多いので、飛び散ったりこぼれたりしないように、この茶盤の上で行います。
大型のものは茶道具を収納をすることもできます。
電壺
電壺とは電気ポットのことで、中国茶の紅茶も一般の紅茶と同様に抽出するため、ポットを用いることがあります。
茶荷
茶葉を茶壺などに入れる前に、茶葉を鑑賞したり取り分けたりするための道具です。
中国茶器で有名なブランドは?
中国茶器は産地によってブランド化されており、宜興(ぎこう)や景徳鎮(けいとくちん)などが一般的に知られています。
宜興(ぎこう)で製作される紫砂壺
江蘇省にある宜興(ぎこう)の陶器は、5,000年の歴史を持つ紫砂の陶器です。
日本の常滑焼きや備前焼き、信楽焼きなども紫砂壺と同じ焼き締めによる焼成方法ですが、日本茶も紫砂壺でお茶を淹れたほうが美味しく頂けると言われています。
それは、紫砂壺が最も渋みやアクが茶壺に吸収されるため、まろやかな味わいになるからです。
江蘇省宜興市(こうそしょうぎこうし)の郊外で、現在も紫砂壺は制作されています。
景徳鎮(けいとくちん)
江西省の景徳鎮(けいとくちん)は、世界的にも有名な磁器の産地で、青花の染付け茶器が有名です。
日本の有田焼が景徳鎮と共通するところがあります。
「玲瓏(リンロン)」と呼ばれる焼き込んだ米粒の跡が蛍のように見える「ホタル焼き」は日本で人気があります。
茶器のほか、食器や壷なども有名ですが、鋳込み成型で作られる安価なものは品質が落ちます。
まとめ
中国茶の作法は繊細でありながら大胆でもあり、気軽に生涯にわたって楽しめる趣味といえます。
中国茶器は、コンパクトに収まるため場所を選びません。
一通りの茶器を揃えて、非日常の世界を楽しんでみませんか?
当社で販売している中国茶もあわせてどうぞ
プーアール茶
黒烏龍茶
最新記事 by 塩原大輝(しおばらたいき) (全て見る)
- チャイラテの美味しい作り方|気になるカフェインやカロリーについても - 2025年1月29日
- 棗(なつめ)とはどんな茶道具?大棗などの種類や使い方についても解説 - 2025年1月29日
- 栄西(栄西禅師)とは?喫茶養生記を書いた茶祖【お茶にまつわる人物】 - 2025年1月19日