お茶は、発酵具合でさまざまな種類に分けられます。そのなかでも希少なのが「後発酵茶」。
独特な製法によって作られるため、他のお茶にはない味わいや芳香を楽しめます。
実は、プーアル茶を除けば、後発酵茶のほとんどが日本で生産されているものばかり。
本記事では、後発酵茶の製造方法や種類について解説します。
後発酵茶とは?
後発酵茶とは、摘んだ茶葉をすぐ加熱して酸化(発酵)を止め、揉捻や乾燥などを行ったあとに、微生物を使って発酵させたお茶です。読み方は「こうはっこうちゃ」。プーアル茶、碁石茶、阿波番茶、バタバタ茶などが挙げられます。
主に、乳酸菌や真菌(カビ)などの微生物が使われます。しっかり発酵させているため、茶葉に含まれるカフェイン量はきわめて少ないです。
後発酵茶の味や香りについて
微生物で発酵させているため、まるで漬物のような独特な風味を感じられます。
ただし、後発酵茶でも種類によって風味や香りは異なります。
例えば、プーアル茶は苦味が少なく強い甘味があります。碁石茶はワインのような深みと少し苦味を感じます。バタバタ茶は、ドクダミに似た独特の渋味があるようです。
後発酵茶の作り方・製造方法
後発酵茶は、まず茶葉に加熱処理を施して酸化(発酵)を止めます。この酵素の動きを止めて発酵させないようにする作業を殺青(さっせい)とよびます。
殺青後の茶葉は、茶葉をよくすり合わせて揉む工程「揉捻(じゅうねん)」を行って乾燥させます。揉捻をすることで、茶葉の組織細胞を破壊し、葉の中にある酸化酵素を含む成分を外に抽出しやすくするのです。
ここまでは、一般的な日本茶(緑茶)と同じ製造工程ですが、後発酵茶はこのあと微生物を使って茶葉を発酵させる、特有の工程をはさみます。
半発酵茶である烏龍茶や、発酵茶である紅茶なども茶葉を発酵させる工程があるものの、これらは茶葉に含まれる酸化酵素を使って発酵させます。一方の後発酵茶は、乳酸菌や真菌(カビ)などの微生物を使って発酵させます。
世界的にみても、微生物を使って発酵させるお茶の技法は珍しく、中国の雲南省やタイとミャンマーの国境付近、さらに日本でしかみられない製造工程だそうです。
お茶の発酵について
お茶はすべて同じチャノキの茶葉から作られますが、発酵具合によってまったく異なるお茶へと変わります。
不発酵茶
不発酵茶は、摘んだ茶葉をすぐに加熱し、酸化(発酵)を止めて作られるお茶のこと。
蒸したり、釜で炒ったり、天日で干したりするなどして加熱処理を行います。煎茶、玉露、抹茶、番茶、ほうじ茶などのいわゆる日本茶(緑茶)がここに分類されます。まったく茶葉を発酵させないため、水色は茶葉本来の緑色になります。
半発酵茶
茶葉の発酵を途中で止めたお茶を半発酵茶とよびます。烏龍茶がここに分類されます。
半発酵茶のなかでも、ほんの少しだけ発酵させたお茶は「弱発酵茶(微発酵茶)」と呼ばれます。
発酵茶
茶葉を完全に発酵させたお茶のことをいいます。「完全発酵茶」や「全発酵茶」とも。紅茶がここに分類されます。
発酵茶は、茶葉を高温多湿の部屋などに入れて、じっくり発酵させます。
完全に発酵させるため、ポリフェノールが多く含まれており、芳醇な香りのお茶になります。
後発酵茶の種類
後発酵茶は、産地や製法によっていくつか種類があります。それぞれの特徴を解説します。
プーアル茶
後発酵茶で代表的なお茶がプーアル茶(プーアール茶)です。漢字で「普洱茶」と書き、中国の雲南省が原産です。
プーアル茶のなかにも「生茶」と「熟茶」があります。
生茶は日本では珍しく、ほとんど見ることはありません。ワインのように数年間保管して長く熟成させることも。生茶は自然発酵で作られ、保管年数が長くなるごとに、花のような香りから蜜のような香りへ変化していきます。
熟茶は「握堆(あくたい)」という発酵方法で作られます。高温多湿で水分をたっぷり含んだ茶葉を積み重ね、空気中にいる麹菌を茶葉に棲みつかせて発酵させる方法です。苦味が少なくなり、まろやかな甘みが出ます。
プーアル茶の味は、芳醇な香りと土っぽい独特の風味があり、現地ではプーアル茶特有の香りを「陳香(つんしゃん)」と呼びます。
碁石茶
碁石茶(ごいしちゃ)は、高知県長岡郡大豊町で生産される後発酵茶です。
蒸した茶葉を、長期間かけて真菌(カビ)で好気発酵させます。さらに桶に入れて重しを載せてから、漬物のように数週間じっくり漬け込んで嫌気発酵させます。これを二段階発酵といいます。
好気発酵とは、空気がある状態で活動する微生物の働きで発酵させること。反対に嫌気発酵は、空気を嫌う微生物を使った発酵方法で、主に密閉容器内で行います。
発酵が終わった茶葉は3cmほどの正方形にカットされ、天日干しされます。茶葉を並べた光景が碁盤の碁石に見えることから、碁石茶の名が付いたようです。
味は赤ワインやレーズンのような酸味があり、程良い苦味も感じられます。
阿波番茶(阿波晩茶)
阿波番茶(阿波晩茶)は、徳島県那賀郡那賀町の相生地区や、勝浦郡上勝町で生産されているお茶です。
遅めに収穫した茶葉を釜茹でし、茶葉をすりながら樽の中に押し詰め、重しを載せて2週間~1ヶ月ほど乳酸菌で嫌気発酵させます。真菌による好気発酵の工程はありません。発酵させたら茶葉を天日干しして完成です。
うま味が強く、甘酸っぱさもあり、まろやかな味わいです。苦味や渋味はあまり感じられません。
バタバタ茶(黒茶)
バタバタ茶は、富山県下新川郡朝日町で生産されるお茶です。
お茶を泡立てるときに、バタバタと茶筅でかき混ぜることからこの名が付きました。
バタバタ茶は、真夏の時期に1ヶ月ほど発酵して作られます。
同じ後発酵茶でも、碁石茶や阿波番茶、石鎚黒茶などは乳酸菌で嫌気発酵させる工程がありますが、バタバタ茶は乳酸発酵を行いません。真菌(カビ)だけを使い、高温になりすぎないように蓑で茶葉を積みなおしながら好気発酵だけ行います。
ドクダミのような苦味がありますが、泡立てると少しマイルドになります。
石鎚黒茶
石鎚黒茶(いしづちくろちゃ)は、愛媛県西条市小松町の石鎚地区で作られるお茶です。「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」にも登録されています。
碁石茶と同じく、真菌(カビ)で好気発酵させてから乳酸菌で嫌気発酵させる、二段階発酵のお茶です。
碁石茶は好気発酵を行ったのちに、茶葉を揉まずに嫌気発酵させますが、石鎚黒茶は好気発酵を行ったあとに茶葉をよく揉み込む工程があります。
少し酸味はあるものの、すっきりして飲みやすい味です。少し砂糖や塩を入れても美味しく飲めますよ。
山年園が提供する後発酵茶
当店でも、本日紹介した「碁石茶」「阿波番茶」「プーアル茶」といった後発酵茶を販売しています。どれも、山年園限定の商品です。
少し酸味がありながらも、すっきりとして飲みやすいお茶ばかり。
いつもとは違うお茶を飲みたいときに、ぜひご賞味ください。
碁石茶
商品名 | 碁石茶 |
商品区分 | 飲料 |
原産地 | 日本産 高知県大豊町 |
使用方法 | ◆急須の場合◆ 碁石茶約3gに熱湯を加えて4~5分待ちます。 1煎目はあまり濃くない方が、美味しくいただけます。 3~5煎目までお飲みいただけます。◆ヤカンで煮出す場合◆ ヤカンで沸騰したお湯2リットルに碁石茶約3gを入れ、中火で約10分煮出します。 酸味が気になる方は、冷蔵庫で冷やすと飲みやすくなります。 |
使用上の注意 | 開封後はお早めに召し上がりください。 |
保存方法 | 常温保管してください。高温多湿、直射日光は避けて保管してください。 |
賞味期限 | 製造日より約2年 |
販売事業者名 | 有限会社山年園 〒170-0002 東京都豊島区巣鴨3-34-1 |
店長の一言 | 幻のお茶と言われた碁石茶です。 最安値に挑戦中です(^-^) |
阿波番茶
商品名 | 阿波番茶 |
商品区分 | 飲料 |
内容量 | 7g×12パック |
原材料名 | 茶葉 |
原産地 | 徳島県産 |
使用方法 | 【ヤカンで煮出す場合】 沸騰したお湯、約1リットルに対して1パックが適量です。2~3分ほど煮出してください。【急須で飲む場合】 急須に淹れる場合は、1パックに対して、3~4煎ほどお飲み頂けます。 |
使用上の注意 | 開封後はお早めに召し上がりください。 |
保存方法 | 常温保管してください。高温多湿、直射日光は避けて保管してください。 |
賞味期限 | 製造日より約12ヶ月 |
販売事業者名 | 有限会社山年園 〒170-0002 東京都豊島区巣鴨3-34-1 |
店長の一言 | 一躍話題になった阿波番茶です。 老舗のお茶屋のこだわりの阿波番茶を是非ご賞味ください(^-^) |
プーアル茶(国産)
商品名 | プーアル茶ティーバッグ |
商品区分 | 飲料 |
内容量 | 48g(4g×12) |
原材料名 | 緑茶(静岡県産) |
保存方法 | 高温/多湿を避け移り香にご注意ください。 |
お召し上がり方 | [HOT]・ティーバッグ1包にお湯約300cc~500cc・約2分待ちます。・お好みの濃さで交互に注いで完成。 [ISE]・ティーバッグ1包にお湯約1リットルを注ぎます。・粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やします。・お好みの濃さになったらティーバッグを出して完成。 |
販売事業者名 | 有限会社山年園 〒170-0002 東京都豊島区巣鴨3-34-1 |
店長の一言 | カフェインも少なめでお子様からご年配の方まで美味しくお飲み頂けます(^-^)/ |
プーアル茶(中国産)
商品名 | プーアル茶 |
商品区分 | 飲料 |
内容量 | 【一袋あたり】454g |
使用上の注意 | 開封後はお早めに召し上がりください。 |
保存方法 | 常温保管してください。高温多湿、直射日光は避けて保管してください。 |
賞味期限 | 製造日より約12ヶ月 |
販売事業者名 | 有限会社山年園 〒170-0002 東京都豊島区巣鴨3-34-1 |
店長の一言 | 老舗のお茶屋の本格的なプーアル茶を是非一度ご賞味ください(^-^) |
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