日本茶

荒茶(あらちゃ)の味は美味しい?煎茶・仕上げ茶との違いについて

荒茶日本茶

荒茶(あらちゃ)は、一般流通する前段階のお茶のことを指します。茶産地以外ではなかなか飲む機会のないお茶ですが、煎茶とは何が違うのでしょうか?

本記事では、荒茶について徹底解説します。

荒茶(あらちゃ)の意味とは?

荒茶 読み方

荒茶とは、摘んだ生の茶葉を熱処理して形状を整え、水分量を減らしたお茶を指します。読み方は「あらちゃ」です。

茶葉を摘んでそのまま置いておくと葉の発酵が進み、傷んでしまいます。すぐに荒茶に加工することで茶葉が傷みにくくなり、長く保存することが可能となります。

荒茶はいったん茶葉を長期保存できるように加工した段階のものであり、粉茶や茎茶なども混ざっています。そのため、一般に流通させるには火入れや選別などの作業を経る必要があります。

荒茶・煎茶(製茶)・仕上げ茶の違い

前述のとおり、荒茶はいったん茶葉の水分量を減らすところまで加工したお茶です。

さらに乾燥させて揉むなどの仕上げ加工を施し、形や味を整えたものが煎茶になります。

煎茶のように製品として販売できるように加工されたお茶は、「仕上げ茶」ともよばれます。

荒茶の生産量ランキングについて

2023年8月に農林水産省が公開した統計によると、全国の一番茶の荒茶生産量の合計は2万1,000t(トン)で、前年に比べ7%減少しました。

参照:令和5年産一番茶の摘採面積、生葉収穫量及び荒茶生産量(主産県):農林水産省

都道府県別の荒茶の生産量ランキングは、1位が静岡県、2位が鹿児島県、3位が三重県となっています。なお、3県は日本茶の三大産地ともよばれています。

日本三大銘茶と三大産地は?それぞれの産地や味の違いを解説
日本茶は、国内のあらゆる地域で生産されていますが、そのなかでも特に生産が盛んな産地を「三大産地」、優れたお茶、上質な日本茶を「三大銘茶」とよびます。 今回は、日本茶の三大産地と三大銘茶について解説します。 日本茶の三大産地はどこ? ...

荒茶の加工(製造)工程

荒茶 加工

荒茶はどのように加工されて作られているのでしょうか?工程は、おおまかに下記の3つに集約されます。

1:蒸す
2:揉む
3:乾燥させる

1:蒸す

まずは生の茶葉を蒸します。この工程を蒸熱(じょうねつ)とよびます。蒸熱することで茶葉の酸化酵素の働きを止めて、茶葉の発酵が進まないようにします。

発酵を止めることで、茶葉本来の緑色をキープしたり、香りを良くしたりできます。完成したお茶の水色や風味を決める重要な工程となります。

2:揉む

揉む工程だけでも、粗揉(そじゅう)→揉捻(じゅうねん)→中揉(ちゅうじゅう)→精揉(せいじゅう)といくつもの工程に分かれています。

ドラム缶のような機械で乾燥した熱風を茶葉に当てながら、圧力を加えて揉みます。こうすることで茶葉内の水分が抜け、形も整えられます。

3:乾燥させる

精揉を行った茶葉の水分量は10%ほどありますが、乾燥の工程を加えることで5%ほどに減ります。

ここまでで、荒茶の完成です。煎茶などの仕上げ茶にする場合は、このあとにまた別の工程を行って仕上げていきます。

荒茶って美味しいの?味について

荒茶 美味しい

一般的に荒茶はあまり全国的に流通しません。茶などの仕上げ茶に加工されて販売されることがほとんどだからです。

ただし、静岡県などお茶の産地では、5月頃の新茶の時期になると荒茶が飲めることもあります。荒茶はコクや旨味が強く、しっかりとした味わいを感じられます。煎茶とは違う加工前のお茶本来の風味を楽しめます。

荒茶の入れ方・飲み方

荒茶は、急須に茶葉を入れて70度ほどのぬるめのお湯を入れて蒸らすのがおすすめです。荒茶特有のコクや風味が抽出されやすくなります。蒸らし時間は40秒ほどが目安です。

粉茶や茎茶が混ざっている荒茶の場合、たまに茶柱が立つこともあります。茶柱は立つと縁起が良いとされているので、荒茶を淹れた際にはぜひ探してみてください。

まとめ

当社でも荒茶を販売しています。

山年園で販売している一番荒茶ティーパックは、静岡県、遠州、社山地方の一番茶を摘んだあとの後れ芽を集めたお茶です。後れ芽とは、一番茶を収穫したあとに伸びてくる芽で、豊かな風味を楽しめます。

さわやかな香りの番茶の荒茶を、ぜひご家庭でご賞味ください。

一番荒茶ティーパック

一番荒茶ティーパック

一番荒茶ティーパックはこちら

The following two tabs change content below.
塩原大輝(しおばらたいき)
有限会社山年園 代表取締役です。巣鴨のお茶屋さん山年園は、巣鴨とげぬき地蔵通り門前仲見世にあり、60年余りの間、参拝のお客様にご愛顧頂いている茶舗「山年園」です。健康茶、健康食品、日本茶、巣鴨の情報などをメインに、皆様のお役に立てる耳寄り情報をまとめています。
このコラムを書いた人
塩原大輝(しおばらたいき)

有限会社山年園 代表取締役です。巣鴨のお茶屋さん山年園は、巣鴨とげぬき地蔵通り門前仲見世にあり、60年余りの間、参拝のお客様にご愛顧頂いている茶舗「山年園」です。健康茶、健康食品、日本茶、巣鴨の情報などをメインに、皆様のお役に立てる耳寄り情報をまとめています。

フォローする

※当ブログメディアに記載されているものは、特定の効能・効果を保証したり、あるいは否定したりするものではありません。
編集部内で信頼できると判断した一次情報(国家機関のデータや製薬企業等のサイト)を元に情報提供を心がけておりますが、自己の個人的・個別的・具体的な医療上の問題の解決を必要とする場合には、自ら速やかに、医師等の適切な専門家へ相談するか適切な医療機関を受診してください。(詳細は利用規約第3条より)

この記事が気に入ったらいいね!
最新情報をお届け!
CHANOYU
タイトルとURLをコピーしました