数ある茶道具のなかで、薄茶を入れておくために使う茶器は棗とよばれます。この棗は、どのように使うのでしょうか。またどのような種類があるのでしょうか。
本記事では、「棗(なつめ)」を解説します。
茶道具の棗(なつめ)とは?
棗とは、茶道具(ちゃどうぐ)の1つです。読み方は「なつめ」です。
茶道具とは、茶道で使われる道具の総称で、棗の他にも茶筅(ちゃせん)や茶釜(ちゃがま)、柄杓(ひしゃく)などさまざまな道具があります。棗は、抹茶を入れておく蓋つきの茶器です。
ちなみに、抹茶には薄茶(うすちゃ)と濃茶(こいちゃ)があります。基本的に棗に入れるのは薄茶のみで、濃茶は入れません。そのため棗は薄茶器(うすちゃき)ともよばれます。
濃茶は茶入(ちゃいれ)という別の茶道具に入れます。濃茶は薄茶よりも格式が高く、特別な場面で使われることが多いです。
茶道具の棗(なつめ)の由来
棗の名前の由来は、植物の棗(なつめ/ナツメ)だといわれています。
ナツメは、楕円形のリンゴに似た果実をつけます。茶道具の棗のコロンとした形状がナツメの果実に似ているため、同じ名前が付けられたといわれています。
茶道具の棗(なつめ)の使い方
前述のとおり、棗の中には薄茶を入れますが、直接入れるのはNGです。薄茶を一度ふるいにかけて他の容器に入れ、それを茶杓で少しずつすくいながら棗の中に入れていきます。棗に薄茶を入れていくことを、お茶を掃く(はく)といいます。
薄茶をふるいにかけずにそのまま棗に入れてしまうと、静電気などでどうしても薄茶がダマになってしまいます。ダマになった薄茶でお茶を点てると、どうしても口当たりが悪く飲みづらい抹茶になってしまうため、必ず一度ふるいにかけてから棗に入れます。
ちなみに棗への薄茶の入れ方は、茶道の流派によっても少し異なります。
例えば裏千家での利休形の棗では、こんもりと山形になるように薄茶を棗の中に掃いていきます。利休形については後述します。
棗の蓋と身(入れ物)のつなぎめは合口(あいくち)とよばれ、合口より下に山の裾野部分が、合口よりも上に山の頂上部分がくるように盛っていきます。
茶道具の棗(なつめ)の種類【大きさ】
棗は、大きさによって3つの種類に分けられます。大きいほうから順に、下記の3つです。
・中棗(ちゅうなつめ)
・小棗(しょうなつめ)
それぞれの大きさの目安は、下記のとおりです。ただし、ものによっては下記と多少大きさが変わることもあります。特に小棗の大きさに明確な定義はなく、中棗より小さければ小棗とされることが多いようです。
中棗(ちゅうなつめ):約6.5cm
小棗(しょうなつめ):約5cm
上記3つに加えて、大棗を平たい形状にした平棗(ひらなつめ)や、小棗を縦に長くした長棗(ながなつめ)などもあります。
茶道具の棗(なつめ)の種類【形状】
棗は、形状にも多くの種類があります。いくつかの棗の形状をピックアップし、それぞれ解説します。
ちなみに棗の本体部分(薄茶を入れる部分)は「身」、その上に被せるのが「蓋」、身と蓋が重なるつなぎ目の部分を「合口(あいくち)」とよびます。
利休形(りきゅうがた)
もっともスタンダードな棗の形状です。千利休が好んで作らせた棗の形といわれています。利休形は蓋が少し丸みを帯びており、コロンとした形が特徴です。一般的にただ「棗」といわれたら、この利休形を指すことが多いです。
真中次(しんなかつぎ)
合口が、ちょうど身と蓋の中央部分にある形状です。
面中次(めんなかつぎ)
真中次の蓋の縁部分を面取りしたものです。
茶桶(ちゃおけ)
面中次の蓋を浅くしたものです。他の棗に比べて合口が上のほうにあり、蓋が浅く、身が深い形状をしています。
雪吹(ふぶき)
蓋の肩と身の裾部分をすべて面取りをしたものです。棗の蓋と身どちらも面取りすることで上下の違いがわからなくなるため、真っ白で少し先の視界も見えづらい吹雪になぞらえて、この名前になったといわれています。ちなみに漢字は、「吹雪」を逆にした「雪吹」と書きます。
茶道具の棗(なつめ)の種類【塗り】
棗は、塗りにもいくつか種類があります。なかでももっとも格式が高いのが黒塗ですが、それ以外にも数多くの塗りがあります。
茶会で亭主になると、棗を見た客から、「棗の御塗りは?」と尋ねられることがあります。その際に、下記に紹介するような塗りの種類を答えなければなりません。また、塗りの種類とともに、塗師の名前も答えることが多いようです。(例:「黒塗の○○(塗師の名前)です」)
黒塗(くろぬり)
黒塗(くろぬり)は、無地の黒漆(くろうるし)で塗るシンプルな技法です。茶道(茶の湯)文化の初期には、棗はすべてこの黒塗だったといわれています。
黒塗のなかでも、棗本体からすべて無地の黒漆で塗ったものを、真塗(しんぬり)や総黒(そうくろ)といいます。
溜塗(ためぬり)
溜塗(ためぬり)は、棗の木地に朱色の下地を塗り、その上に半透明の朱合漆(しゅあいうるし)を塗り重ねていく技法です。ほんのり赤みを帯びた、透け感のある飴色が特徴です。
一閑張(いっかんばり)
一閑張(いっかんばり)とは、棗の木地に和紙を張り、上から漆を塗って固める技法です。中国の学者である飛来一閑(ひらいいっかん)が考案した技法のため、この名が付いたとされます。
蒔絵(まきえ)
棗の表面に漆で絵柄や模様を描き、乾ききらないうちに上から金や銀の箔や粉などを蒔く技法です。金や銀をまとった、非常に美しい模様が生まれます。蒔絵のなかにも沈金(ちんきん)や螺鈿(らでん)などの種類があります。螺鈿とは貝類のかけらを漆器に埋め込んで装飾する技法で、真珠のような輝きが特徴です。
山年園で販売している薄茶について
棗は薄茶を入れておく茶道具です。山年園でも、オリジナルの抹茶を販売しています。
お抹茶として飲むのはもちろん、パウンドケーキやチーズケーキ、マフィンやクッキーなどお菓子作りの味付けにもおすすめです。
天龍抹茶
商品名 | 富士抹茶 |
商品区分 | 食品・飲料 |
内容量 | 【1袋あたりの内容量】 50g |
原産地 | 日本産 静岡県 天竜川 |
使用上の注意 | 開封後はお早めに召し上がりください。 |
保存方法 | 常温保管してください。高温多湿、直射日光は避けて保管してください。 |
賞味期限 | 製造日より約8ヶ月 |
販売事業者名 | 有限会社山年園 〒170-0002 東京都豊島区巣鴨3-34-1 |
店長の一言 | 高級な抹茶粉末です。 お菓子作りなどに最適です(^-^) |
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