私たちが普段飲んでいる日本茶(緑茶)には、さまざまな品種があります。そのなかでも圧倒的な生産量を誇るのが「やぶきた」です。
今回は、やぶきた(やぶ北茶)の特徴や歴史についてご紹介します。
やぶきた茶(やぶ北茶)とは、どのような品種?
やぶきたとは、日本茶(緑茶)の品種の1つです。日本茶には、さえみどりやおくみどり、あさつゆなど100種類以上の品種がありますが、そのなかでも最も生産量が多いのがやぶきたです。
やぶきたには、どのような環境でも比較的育てやすい特徴があります。やぶきたの特徴については後述します。
やぶきた茶(やぶ北茶)の主産地は?
やぶきたの主産地は静岡県です。
静岡県はお茶の栽培量が全国トップです。農林水産省が発表したデータによると、令和5年度の一番茶の荒茶生産量と割合で静岡県は1位。その生産量は年間9,060トン、全体の43%を占めます。
参照:令和5年産一番茶の摘採面積、生葉収穫量及び荒茶生産量(主産県):農林水産省
また静岡県内の品種別の茶園面積でもトップクラスです。令和4年の静岡県内の茶園面積を品種別でみると、下記のようになります。
2位:さやまかおり 295ヘクタール
3位:つゆひかり 165ヘクタール
やぶきたの茶園面積は、2位のさやまかおりと比べても約41倍と突出して多いことがわかります。
参照:静岡県茶業の現状|令和5年3月静岡県経済産業部農業局お茶振興課
やぶきた茶(やぶ北茶)の歴史と由来
やぶきたを生み出したのは、静岡市駿河(するが)区出身の杉山彦三郎(ひこさぶろう)氏です。
杉山氏は、静岡市内にある竹藪(たけやぶ)を開拓し、お茶の種をまいて茶畑を作りました。そして、成長した木のうち、特に優良だった2本を選んだのです。これが明治41年といわれています。
選別された2本の木のうち、やぶの北側に植えていたものを「やぶきた」、南側に植えていたものを「やぶみなみ」と名付けました。杉山氏死後の昭和初期には、やぶきたは静岡県の奨励品種に指定されています。
杉山氏生誕の地である静岡市駿河区の「静岡県立美術館」には、現在も「杉山彦三郎記念茶畑」が残されています。この茶畑の敷地内には、やぶきたの原木が植えられています。
やぶきた茶(やぶ北茶)の特徴
やぶきたの特徴をいくつか解説します。
国内でもっとも生産量が多い
やぶきたの特筆すべき点は、やはり生産量の多さです。
2024年現在、日本茶の品種は100種類以上ありますが、そのなかでもっとも生産量が多いのがやぶきたです。
国内の茶園面積を品種別で比べると、やぶきたの割合が圧倒的に高く全体の71.5%にもなります。さらに都道府県別にみると、三重県と岐阜県にいたっては、茶園面積のおよそ90%をやぶきたが占めています。
甘味と渋味・苦味のバランスが良い
お茶の品種によっては、甘味が強くまろやかなものや、反対に渋味が強いキリッとしたものなどさまざまな特徴があります。
その点、やぶきたは甘味と渋味・苦味のバランスが良く、飲みやすいのが特徴です。濃厚な旨味も感じられ、香りもすっきりとさわやかです。
さまざまな地域でも栽培できる
南は沖縄から北は新潟まで、それぞれの地域の気候や土壌にも適応しやすい品種です。
また、やぶきたは寒さに強い特性をもちます。そのため、凍害を受けにくく他の品種よりも安定した収穫量をキープできます。これが日本国内で生産量が多い理由の1つになります。
病気や虫害には弱い
やぶきたは寒さには強い一方で病気や虫害には弱いです。特に炭疽病(たんそびょう)や輪紋病(りんもんびょう)などに弱く、育てる際には注意が必要です。
やぶきた茶(やぶ北茶)の味や香りについて
やぶきたは日本中で広く流通している品種であるため、おそらくほとんどの方が一度は口にしたことがあるかもしれません。
やぶきたを飲んだ方の味や香りの感想を、Xよりいくつか抜粋してご紹介します。
やっぱりやぶきたは荒茶でもしっかり味が出てうまいなぁ。 pic.twitter.com/t9vjOe7WyB
— なかもりまさる🍵お茶畑からお伝えします🌱中森製茶 (@nakamoriseicha) April 30, 2021
今夜は
和束純煎茶(やぶきた)
を淹れました🌱
力強い香り、味
心地よい渋味が好きです🌱我家にある鉢植えのやぶきたに
花が咲きました🌱
お茶栽培にはあまり好まれない
ようですが
下向きに謙虚に咲く
小さなかわいい白い花に
キュンとしてしまいます🌱#お茶の花#茶好連#木漏れ日のお茶会 pic.twitter.com/zieJp6JpwA— Keiko.N (@cha88_kn) November 15, 2020
中森製茶のやぶきた を
苦渋味と甘味のバランスのよいお茶でした。うま味もほどほどでくどさがないのが良いです。#茶好連 pic.twitter.com/gKVUEdDtBd— わたねこ (@cyrano_15) February 16, 2019
緑茶。やぶきた煎茶by茶園森福。京都府のお茶を水出しにしました。
ひんやり冷たい軽快な口あたり、苦渋味も感じず、爽やかな甘味・旨味が広がります。スッキリ飲める冷茶です☺️#茶好連 pic.twitter.com/SsFxrsQg1z— みやくん@しばらくお休みします (@63hm63) July 30, 2021
やはり、強い香りと濃厚な味を感じる方が多いようですね。
苦味や渋味が少なく、さわやかな甘味を感じる方も。苦味や渋味が強いお茶が苦手な方は、是非やぶきたをチョイスしてみてください。
やぶきた茶(やぶ北茶)の美味しい入れ方
やぶきたの茶葉を急須に入れます。
1人分なら茶葉4gほど、3人分なら6~9gほどが目安です。
そこに、70度ほどに冷ましたお湯を注ぎ、急須にフタをして1分ほど蒸らします。その後ゆっくり湯呑みに注ぎます。
注ぐ際に、急須を回すと茶葉の渋味や苦味が出すぎてしまうため、大きく揺らさずにゆっくり注ぎましょう。最後の一滴までしっかり注ぎ切ることで、2煎目からも美味しく楽しめます。
山年園が販売するやぶきた茶(やぶ北茶)について
山年園でもオリジナルの美味しいやぶきたを販売しております。
さわやかな香りとすっきりした風味が楽しめるやぶきたを、便利なティーバッグにしました。
お湯を注ぐだけで、いつでも簡単に美味しいやぶきたを楽しめます。夏は水だしもおすすめですよ。
商品名 | 煎茶 やぶ北茶 |
商品区分 | 飲料 |
内容量 | 【一袋あたり】100g(5g×20パック) |
原材料名 | 茶葉 |
原産地 | 静岡県 |
使用上の注意 | 開封後はお早めに召し上がりください。 |
保存方法 | 常温保管してください。高温多湿、直射日光は避けて保管してください。 |
賞味期限 | 製造日より約12ヶ月 |
販売事業者名 | 有限会社山年園 〒170-0002 東京都豊島区巣鴨3-34-1 |
店長の一言 | 老舗のお茶屋が販売する煎茶です。 他店のお茶と比べてみてください(^-^) |
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